東京のカタスミで、

山城ショウゴ

1Kユニットバス 一人暮らし。癒しの、お風呂の時間

僕は、湯船に浸かる。

 

1Kユニットバス。部屋の広さは全部で10畳ほど。

あと無駄にベランダが広くて、L字型。このマンションに住みはじめて約一年になる。

最初の一人暮らしにしては、割と充実した条件が揃っていて、気に入っている。変な部屋だ。

 

駅からは少し遠いので、普段は原付で移動している。でも、歩くのが大好きな僕にとっては、徒歩でもなんの問題もない。ちなみに、最近遊びに来る友達(ほぼ全員)は、タクシーで駅まで帰っていく。

 

そんな部屋で僕は月に約一回、湯船につかる。普段はシャワーだ。

実家に住まさせてもらっていた時は、毎日湯船に浸かっていたし、お風呂の時間は全部で一時間ほど確保していた。しかし一人暮らしとなると、都合が変わってくる。

 

 

 

まず、ユニットバス。

「ユニット」なんてちょっとカッコイイ言い回しで不動産屋は僕を翻弄してきた訳だけれども、実際に住んでみると、やはり快適とは言えない。

狭い。比重的には、バスよりもトイレの方が強いと思う。面積的に。

 

お風呂よりもトイレの事を優先的に設計されているように思える。

「ユニットバス」よりも、「トイレfeat.バス」の表記の方が正しいように思える。ここは改善してほしい。

 

 

 

そして、ガス料金。

うちのマンションはプロパンガスで、ガスの料金が高めに設定されている。多くの家は、都市ガスだと思われる。毎日湯船に浸かってしまうと、信じられないガス料金を請求される事になってしまう。「え・・、信じない!!」では済まされない。

 

その為僕は、友達の家でお風呂を借りる時、ここぞとばかりにお湯を贅沢に使いまくるという、誠実とはかけ離れた行いに意識を集中させている。

 

そうは言っても、僕はお風呂が大好きだ。子供の頃は友達とよく銭湯に行っていたし、今でも時々行く。様々な障害はあるけれども、今日は、湯船に浸かる日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気持ちいい。

 

いつもより少し多めの改行が施されているが、別に性的な意味は含まれていない。とにかく気持ちいい。毛穴がしっかり開く感覚と、シーーンと静まりかえる感じが好きだ。

 

湯船に浸かっている間は、何も考えなくて済む。普段、余計な事ばかりに頭を働かせている分、湯船の中では何も考えずにリラックスできる。

まるで、恋人の腕枕のようだ。

恋人なんてもうずいぶん長い間存在しない僕にとっては、想像上の話。クマさんのぬいぐるみの腕枕のようだ、とは書けない事を理解してほしい。

 

 

そのまま何も考えずに、ボーーっと時間が流れる。

 

すると、だんだん湯船の温度が下がってくる。

 

この辺りから、考え事が頭をよぎってくる。あんな話やこんな話。

「あ、そろそろブログ書かなくちゃ〜」とかそういう事。楽しい事も考えるし、ちょっと面倒な事も考える。

でも時間が経過するごとに、面倒な考え事が中心になってくる。

なんせ、全裸でぬるま湯につかりながら、目の前にはトイレ。視覚的にも、ほんの少し憂鬱な気分になってくる。

 

 

こうなってきてしまうと、お風呂の時間は終了。このままではせっかくの癒しの時間が、憂鬱な考え事の時間になってしまう。

 

 

湯船のゴム栓を抜く。

 

そして僕は、ほんの少しだけ、憂鬱な気分を抱えたまま、気づけば排水溝を両手で塞ぎ、一滴も水を流さないという非生産的な遊びに夢中になる。

 

 

僕は、そしてまた、湯船に浸かる。